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interview
日本語日本文学科:山本晶子先生
山本 晶子
日本語日本文学科
教授

掲載日:2020.05.15
小原奈津子学長ブログより
左:小原奈津子学長(当時) 右:山本晶子先生
山本先生と小原学長
第10代小原奈津子学長(在任期間2020年4月~2023年3月)による学長ブログから、2020年5月15日に掲載された山本晶子人文学部長のインタビューを紹介します。
山本先生の研究について教えていただけますか?
能楽について、中でも地方に伝承されている狂言を研究しています。今は、伊勢市の馬瀬(まぜ)町に伝わる狂言の台本を中心に研究をしています。
先生の研究でおもしろいと思うところはどんなところですか?
20年以上伊勢に通って門外不出の資料を調査し、それらの資料の位置づけを紹介するとともに、毎年馬瀬町での秋祭りや伊勢の能楽まつりを撮影、記録しています。馬瀬狂言は、その地域の人々の手によって伝承されています。馬瀬狂言が時代を超えてどう伝わり、どう変化しているのか、地域のコミュニティとの関係の中での伝承の実態を明らかにしたいと思い、研究に取り組んでいます。
文学だけではなく、その背景にある文化にもつながっているのですね。興味が湧いてきますね。先生が研究の中で、ワクワクしたり、嬉しかったことはどんなことでしょうか?
何より実物の原本を見せてもらい、当時の人々が遺した筆の跡をたどりながら翻刻する作業は難しいですが、楽しいです。馬瀬狂言の台本の系統を明らかにするために調査をするなかで、全く別の場所で詞章がほぼ一致する台本を見つけた時、自分にとっては一歩前進した感じで嬉しかったです。また、馬瀬狂言の「蜂」という珍しい曲の資料を翻刻・紹介した、わたしの論文を元に、その曲が復元され舞台で実際に演じられたのを見て感激しました。

山本先生ポスター
山本先生の論文をもとに復曲され、2012年名古屋能楽堂で初上演された「蜂」のポスター
山本先生テキスト

山本先生狂言花子台本
(参考)狂言「花子」の台本
 ※馬瀬狂言保存会所蔵
この分野を選んだきっかけを教えてください。
大学2年生の時、学科の研究発表会で発表することになり、説話文学の研究者の戸谷三都江先生にテーマについてご相談したところ、狂言を紹介されたことがきっかけです。「あなたは狂言の中に登場する女性のよう」とのことばをいただき、興味を持って読んだことで、それ以後ずっと、研究テーマとして付き合っています。ただし、先生のおっしゃった狂言の女性は「わわしい女性」(口やかましい、うるさい)ということのようです(笑)。
趣味は何ですか。
今は忙しくてなかなか行けないのですが、「釣り」です。家族全員で釣りが好きです。釣ったものは基本的に全部料理していただきます。
座右の銘があれば教えてください。
能楽では一回毎の講演に演者が集まって演じるので「一期一会」を大事にします。私も常に色々な風景や人に出会っていますが、それぞれがその時しかない出会いとして大切にしたいと思い、「一期一会」という言葉を大事にしています。
人間文化学部のセールスポイントはどんなところですか?
人文学は伝統的な学問分野であり、「人間とは何か」を考える、根本的なことを学ぶ学問です。文学や歴史、文化を研究対象として、そこに込められた人々の思い、智恵を学び、豊かな人間性と広い視野を培うことがこの分野の目指すところです。本学創立の出発点は国文学であり、本学のなかでも長い歴史を持っています。図書館には近代文庫など貴重な資料が蓄積されており、また、学芸員を目指す者の実践の場として博物館もあり、この恵まれた教育環境がポイントです。
海外で学ぶプログラムも充実し、また、テンプル大学ジャパンキャンパス(TUJ)との交流も盛んです。専門分野に関連する交流として、歴史文化学科はアート学科と「コミュニティアート」という科目を共同で開設しており、日本語日本文学科もTUJの日本語学科と連携し、互いの授業に学生が参加し合っており、さらに「日本の伝統文化を学ぶ講座」も共同で開催しています。
これからどんな人を育てる学部にしていきたいですか?
情報化社会、またAI技術の進歩等、激変する時代の中で、最後は人間の判断、智恵が求められます。このなかで今後はますます人文学を学ぶことの意義が問われます。まずは専門の学びを通して、深い見識と共に、思考力、洞察力、表現力などを養います。さらにグローバル社会の中で、多様性を理解し、主体的に考え、行動できる人材を輩出する学部を目指したいと思います。
学生にとって昭和女子大学で学ぶメリットはどこにあるでしょうか。
様々な年代の園児、児童、生徒、学生が集い、TUJやBST(ブリティッシュ・スクール・イン・トウキョウ昭和)もキャンパスを共有する、正にタイバーシティな教育環境だからこそ、それぞれが連携して様々なプロジェクトやプログラムが生まれていることです。中でもTUJとの連携も大きいでしょう。また、学生と教員の距離の近さ、教員が個々の学生をしっかり見ていることは、学内の学生からだけでなく、オープンキャンパスに訪れた高校生からも聞く感想です。

インタビューは以上です。研究のことを話される山本先生の顔は熱意に満ち、いかにも楽しそうだったのが印象的でした。「釣り」が趣味とは・・・意外にワイルドな一面も垣間見られました。先生の考えられた学部の目指す教育には私も同感で、分野は異なっても大学教育共通の思いであると思いました。(小原奈津子)


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