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2024.06.26

【昭和学報】女性教養講座 今知っておきたい教養としての和食

 
 5月29日に人見記念講堂で、女性教養講座「今知っておきたい教養としての和食」が開かれ、柳原尚之先生に登壇していただきました。柳原先生は、東京農業大学で発酵食品学を学ばれ、現在は東京・赤坂の柳原料理教室で日本料理、茶懐石の研究指導をされています。今回のお話の中で、日本料理と外国料理の違いについてが一番印象に残りました。
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 日本列島は細長くて中心に山脈があり、降った雨はすぐに川を通り、海に流れていきます。雨が急激に山からくだってくるため、透き通った綺麗な水のまま海に流れつくのです。この豊富な水のおかげで、日本人はお水を使って料理をすることが上手くなっていきました。今も、食材を洗う、茹でる、だしで煮るなど、お水がいっぱいないとできない料理工程があることに気づくと思います。
 一方で、外国料理は水が豊富に使えなかったために、油を使うことが多いですね。中華料理ではごま油を、フランス料理ではバターやオリーブオイルなどをよく使います。味付けも日本では、うまみ成分と呼ばれるグルタミン酸が含まれている醤油や味噌のような発酵食品を使用し、外国では香辛料が主に使われます。そのため、日本はうまみをベースに料理を作り、外国は香りで料理を包んでいくという違いがあります。
 
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 食材に関しても日本と海外では大きな違いがあります。海外の料理は宮廷料理などのお金を持っている人々が食べることができる、貴重な食材を使うところに価値を置いていました。一方で、日本料理では同じものでも他人より早く食べることに価値を置いていました。そのため、海外の料理は、お金を持っている人しか食べることができないけれど、日本では「旬」の食材が出回る時期になれば庶民も手を出すことができる価格となり、同じものを楽しむことができていました。

 柳原先生が話された「旬」の食材を食べるという考えは、食材が季節問わず手に入るようになった今の時代においても、四季を感じることができる風情ある食文化として私たちの生活の中に息づいていると実感することができました。日本料理に限らず食事を楽しむ時には、その料理が生まれるに至った歴史などを想像してみると、より美味しく感じることができるようになるだろうと思いました。


執筆者プロフィール
平山さん
H.H
現代教養学科
趣味は映画鑑賞

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