天平の甍−鑑真大和上と唐招提寺展

【国宝】方円彩糸花網

レース  唐招提寺の宝蔵を昭和29年、奈良国立文化材研究所が調査した際、黒漆の箱の中に永い 年月の間眠っていた、このレースを発見。伝世品として世界最古といってよい貴重品とわかり、昭和33年に重要文化財、同36年に国宝に指定された。
 鑑真和上は、「仏舎利三千粒」を「西国瑠璃瓶」に入れて日本に持って来たと記録にあるが、このレースは、それを包んでいたものと考えられている。「西国瑠璃瓶」とは蕪型の淡黄色のガラス器(国宝)のことで、古代レースも、ともにペルシア辺りの作品ではないかと推測されている。ちなみに、従来の調査では正倉院にもレース製品はなく、日本でレースを作ったのは明治13年以降ではないかという説がある。
 編み方は守田公夫氏の研究によると、おそらく一本針の操作で糸輪を作り、その輪を繰り返し組み合わせて編み進んで作ったものという。中央部分は、紺・茶・緑・淡茶・白茶 などの多色を使って方形に編み出し、そこへ更に四つ目を透かした菱形の文様が規則的に 浮き出るようにしてある。中央部分をとりまく周辺では、入念に色糸の濃淡をかえて、暈しの効果が出るようにデリケートな配色をしている。配色の巧みさと相俟って、華麗さと格調の高さが見事である。
 なお、唐招提寺末寺の伝香寺(奈良市)にある鎌倉時代初期の地蔵像の胎内からも、仏舎利の入ったガラス器がレースに包まれて発見されているので、舎利とレースには深い関係があったと思われる。
 いずれにせよ、この異国情緒ただよう古代レースは、1200年の昔、鑑真和上のあの労苦を、つぶさに見ていた証人といってよいだろう。


金亀舎利塔 白瑠璃舎利壺
「国宝 金亀舎利塔」平安時代
金同製舎利壺をこの中に安置してある
「鑑真和上が将来した白瑠璃舎利壺」
唐時代 ガラス製



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