意識しなくても話せている日本語の文法について、ブラックボックスを開けるような気持ちで研究しています。パソコンの使いかたを「覚える」のとは別に、この機械中身を分解してみたい」という感じに近い興味を、ことばに対してぶつける感じです。

敬語や活用などのことばの現れ方を見つめ、古典文法からの変遷と共に、それらがなぜその形にあるのか考えます。正誤ではなく、不思議と使えてしまうことばの「なぜ」に理論を立てるのは、物事を考える態度や力を養い、新たな視点を得る楽しさを感じさせます。


 

日常生活における実際の会話を収録・文字化し、普段はすぐに消えてしまう会話の特徴を客観的に分析しています。留学生の会話から外国人労働者の会話まで、現代社会の多様な異文化間コミュニケーションの特徴を明らかにし、その研究成果を日本語教育へどう生かすかを考察しています。

この授業では日常会話のやり取りがどのように解釈されるか、異なる社会や文化と比較しながら考えていきます。例えば、「行けたら行く」という表現は、人間関係や状況等により解釈は変化すると思います。これは日本語教育での実践的な会話教育に役立つとともに、異文化理解にもつながります。



江戸時代の文学、なかでも近世実録と呼ばれる分野を研究しています。現代人が江戸時代の人物や出来事を語る時、そこには必ずと言っていいほど、近世実録の物語の影響が見られます。近世実録の〈もっともらしい嘘〉がどのように創られ、広まり、共有されたのか。この謎を解き明かそうとしています。

中世から近世にかけての文学作品を幅広く読んでいます。作者や時代背景の知識も含めて学ぶため、作品をより深く理解することに繋がります。実際に、様々な種類の和本に直接触れる機会もありました。当時の人々に想いを馳せながら、作品に触れる喜びを感じることができます。


日本の児童文学のうち、時代で言うと明治から昭和前期にかけて、ジャンルで言うと女子を主な読者対象とした「少女小説」と、子どもに向けて書かれた「詩」を中心に研究しています。少女小説作家には女性も多く、女性の生き方という面でも関心があります。

この授業では、明治時代から昭和時代に発表された児童文学を読みます。作品内の表現や作者のことば、時代背景などを通して、作品が書かれた当時の社会や作者が向き合った問題に触れます。児童文学をどのように読むかを考え、ことばにしていく授業です。



ことばがどのように変化し、なぜその変化が生じるのかを明らかにしたいと思い、今は日本語のゆれを中心に調査研究をしています。日本語が使われていれば、会話・小説・漫画・新聞・看板などすべてが調査対象。アンテナを張ってことばを観察しています。

どのように言語音を発し、捉えているのかを学びます。その仕組みは一見複雑そうですが、機械の操作マニュアルを読んでいるかのように、体系的に紐解きます。無意識に行っていることを学ぶのは新鮮で面白く、日本語そのものを客観的に見つめる力を養うことができます。


 

日本語教育文法(日本語学習者の理解に寄り添い、運用に結びつく文法記述)を研究しています。学習者の誤用、日本語母語話者の使用状況、学習者の母語と日本語との比較、日本語教科書を総合的に検討し、「データの発する声」を聞き取る姿勢を大切にしています。

この授業ではこれまでに学んだ日本語教育の知識を活用し、初級の日本語学習者に実際に日本語を教えます。教える文法項目だけでなく語彙の難易度や学習者の背景にも留意する必要があるため、練習用の例文一つを取っても多角的に考える力が養われると思います。



『源氏物語』をはじめとする古典文学を、特に「呼称」に着目しながら研究しています。登場人物に用いられる多様な呼称からは、人物像や人間関係、ときには複雑な心情などをも読み解くことができます。変体仮名で残る和歌集や物語などの翻刻活動もしています。

百人一首をもとに和歌について学びながら、変体仮名を身につけていきます。難しいようですが、資料と字典を照らし合わせて見れば、次第にくずし字が自然と読めるようになります。古典を書かれたまま読める楽しさ、多様な仮名の取り合わせが成す文字の美しさを感じてください。


泉鏡花を中心とする、近代の浪漫主義文学について研究しています。とくに力を注いでいるのは、明治30年代、西暦でいうと、1900年前後の時期、近代文学の形成期ですが、美術と文学との関係にも興味があり、授業では夏目漱石や芥川龍之介と美術の問題を話しています。

森鷗外の明治40年代の作品を読んでいます。担当を決め、参考文献を読み、自分の意見をまとめた発表資料を作成します。発表後に、感想質問を含めた討議があるため、自分の発表の良いところ・改善点がわかります。改善点は課題とされ、次回までに調べて提出・配付します。改善点の見直しで作品の理解が深まるのです。



私たちの「つながっていたい」想いで広まるコミュニケーションとことばについて研究しています。最近では自身でLINEのコーパスを作成し、言語以外の要素をどう補いながら言語を使って円滑にコミュニケーションを取ろうとしているのか、その工夫について分析しています。

教職資格取得を目指す学生のための科目です。国語科の指導をする上で、必要なパソコンのスキルを実際の教育現場でどのように活用・応用できるか、アナログの良さは何か、を学ぶことができます。ICTを活用した授業の需要が高まる現代において、この授業での学びは必ず将来の自分に役立ちます。


 

日本語母語話者と非母語話者が協働していく上で何が起こっているのか、どのようにすればいいのかを、主にコミュニケーションの場面から分析しています。日本語教育をその領域のものだけにせず、企業、官公庁、地域等と連携をしながら、より良い社会につなげるために研究をしています。

この授業では、日本語を母語ではなく外国語として捉え、実際に日本語を「外国語」として学んでいるTUJの学生と交流する機会もあります。そこでは、英語には無い日本語特有の表現や面白さについて聞くことができ、「異文化から見た日本語」を実際に肌で感じることが出来ました。



消費環境が急速に変化する中、物語を読む行為がいかに変化しているのかを研究しています。具体的に、小説では三島由紀夫、北杜夫、マンガでは藤子不二雄○、藤子・F・不二雄、アニメでは「機動戦士ガンダム」で著名な富野由悠季などを研究しています。

小説やマンガを読んでいる時に、「あと5ページしかない!早くオチをつけなくちゃ!」など、急に創作の舞台裏(らしきもの)が明かされ、それが虚構であることを意識させられる瞬間はありませんか?この授業では、そんなメタフィクション的な要素も含め、語りに注目します。発表当時とは価値観が変容している現代だからこそ生まれる読みや視点を通して、改めて作品の価値を考えていきます。


古事記は天皇家の正統性を説く書物ですが、敗れ去る者や滅びる者に焦点を当てて人間の苦悩や悲哀を描く豊かな文学性を有し、日本書紀とは異なる日本人のオリジナリティを創造しています。神話や説話、歌謡を通して古事記の表現の特徴を研究しています。

古代文献をもとに 「日本文学のルーツ」に触れる授業です。上代文学は現代から遠く離れた時代のことが記されていると思われがちですが、浦島太郎や七夕伝承の原型は実は上代にあります。上代文学の作品には現代に生きる私たちにも通じる心情が流れているという点を、興味深く感じます。



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